Apr 29, 2013

【読書】『東京喰種』


石田スイ『東京喰種』

正直、最初は単なる暴力的描写だけの普通の漫画かと思ったので、なんとなくさらーっと読もうかなと手に取ったら結構なアタリでした。

人間と普段は人の姿をした食人生物。どちらにもなれない者であり、その間にかかる橋でもある主人公、カネキ。彼と彼の葛藤を中心にしながら、それぞれの側の葛藤がうまく描かれてます。
『寄生獣』大好きなんですが、設定的には似ているのかなという印象。最初の数巻では海外文学からの引用もチラホラ。そんなところも好みです。

「残虐性」というのもキーワードかな、と。生きるために食すという行為に潜む残酷さ。主人公のカネキの葛藤は大雑把にいえば、そこに集約されます。

一巻の『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)からの引用は圧巻でした。

「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。
卵は世界だ。生まれようと欲するものは一つの世界を破壊しなければならない」


ひょんなことから人間ではないモノに生まれ変わったカネキの戸惑い、苦しみ、そして、新しい自分を受け入れる様をよく表しています。

いい機会なんで、本棚から『デミアン』ひっぱりだしてきます。

偏見に満ちた評価:★★★☆☆





Apr 28, 2013

映画『らもトリップ』



広告から文学、エッセイ、舞台、ロックと幅広く活躍しながら2004年に亡くなった中島らもの短編を東京芸大の学生が映画化。中島らも大好きなんで、みたくてたまらなかった一本。

そもそも、中島らもの作品を映像化ってめずらしいですよね。もちろん舞台はありますが。
短編三本の間には、中島らもという男と交流のあった人たちの「らも語り」。竹中直人、古田新太、大槻ケンヂなどなど濃いやつらが、思い思いに中島らもという男を語る。予想通り、否、予想をこえたぶっとんだお話の数々。らも好きにはたまらないです。

らも好きとして特にニヤッとしてしまったのがエンディング。「いいんだぜ」が流れてました。いわゆるピーなしで。やってくれてます。

とってもおなかいっぱいの一本でした。

偏見に満ちた評価:★★★★★


映画『Virginia(原題:Twixt)』



あらすじ:
オカルト作家のホールは新作のサイン会でとある町を訪れる。そこでは昔から数々の怪奇事件がおきていた。数日前にも少女が胸に杭を打たれて殺されていたのだった。ひょんなことから、ホールはオカルト好きの保安官とともに小説を書くことになるのだった。


コッポラの最新作。
モノクロに赤が映える美しい世界観はみとれてしまいました。コッポラファンだけでなく、ポー好きにもたまらない一本。今作でのポー、結構似てました。主人公の三流作家のダメっぷりもなかなか好みでした。

現実と夢が交差するかのような不思議な世界観ができあがっている一方で、すっきりしない点が残ったまま終わりを迎えます。「?」をいくつも残したままでのエンディング。ちょっと何が起こったのかわからずな状態で終わります。世界観が素晴らしいだけに、残念。



偏見に満ちた評価:★★☆☆☆


Apr 23, 2013

読書『逃げる男』あわやのぶこ



「マザコン」、「優しすぎる男」、「何を考えているのかわからない男」、「距離を保ち続ける男」、「放蕩息子」、「性の営みを避ける男」、「ネット世界に引きこもる男」

などのちょっと変わった男性との恋愛での失敗が女性目線で描かれてます。8話収録。最後に番外編的な感じで男性の言い分が収録されてます。バカな男と、そんな彼らと向き合おうと奮闘する女性。男と女。やっぱり違う生き物なんでしょうかね。赤裸々に綴られておりました。かなりの修羅場もありつつ。

「向き合う」という言葉ひとつとっても、男女で捉え方の違いがあるのかな、と。結婚エピソードがいくつかありました。結婚という形で衣食住を共にした結果、「向き合い」方の違いが顕著になっていく様。

一読者として、そんな様をのぞき見るという。おもしろかったです。同時に、「自分もそんな男のひとりなのではないか」、という笑ってもいられない感じ。女性なら、読みながらイライラしたり、はたまた笑い飛ばせるのでしょう。絶妙でした。



偏見に満ちた評価:★★★☆☆


Apr 21, 2013

映画『きっとここが帰る場所(This must be the place)』




あらすじ:
しわだらけの元ロックスターのシャイアン。メイクアップしてます。つまらなそうにまるで亡霊であるかのように暮らしていた彼。ひょんなことから長いこと疎遠だった父が亡くなりそうだと知らせを受ける。父の遺志を継ぎ旅に出るシャイアン。



ロードムービーだとは知らずに鑑賞。ショーン・ペンがこのメイクでロックスターでナチスの残党を追っかけまわすって設定だけで、即レンタル。

一応、いわゆるロードムービーだと思うのですが、旅に出るまでが結構長いです。うだうだ、ぐずぐずしてます。そんなところもなかなかよかった。

そして、この映画、登場人物のバックグラウンドとか、この人が誰で、あの人は誰、だとかの説明がほとんどないです。淡々と話は進んでいくのですが、あらゆるところでなかなかブッ飛んだシーンがありました。よかったです。タイトルはTalking headsの名曲『This must be the place』から。

偏見に満ちた評価:★★★☆☆


Apr 20, 2013

『HANNA』をみました。




あらすじ:
雪降り積もる森の中。パパと二人きりで暮らす少女のHanna。ちょっと普通じゃないトレーニングをしたり、狩りに出たりしながら平和に暮らしていたはずが、ある日を境にそんな生活が終わろうとしていた。それも彼女自身の決断で。



とくに予備知識もない、宣伝もみていない状態でみました。DVDのジャケットのみ。

僕は『LEON』とか大好きなんですが、ジャケット見た瞬間にビビっときました。そっち系だと。実際はちょっとちがいました。なんかこう、淡々としてました。それもまた好きです。

表情一つ変えずに、手にした銃でとどめをさしちゃう少女。純粋さと残虐さは表裏一体。歯止めを知らない子供という無垢な存在。

「あ、心臓はずしちゃった。しっかり息の根を止めないと。」

恐ろしいほどに冷静。

そんな彼女も、森での生活が長いので、TV、蛍光灯、シャワーなどの文明の利器にはビビっちゃう。さりげないシーンなのだけれども、納得の反応。そりゃあ、ビビるよね。なかなか印象的なシーンです。

久しぶりの映画。掘り出しものでした。


偏見に満ちた評価:★★★★☆


Apr 19, 2013

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』


発売日にamazonから郵送されてて感動。なるべく時間をかけて咀嚼しながら読みました。今回はあらすじなどは書かずに、作中にて何度も出てくるこの曲を。


期待しながら待っていたので、「読んで、がっかりすんのかなぁ」とか考えてましたが、要らぬ心配でした。十分に引き込まれてました。もっと言えば、『1Q84』よりも好みでした。


このようにツイートしたように、現在、リアルタイムで自分が作品とリンクしたのは大きかったのかなぁと。



偏見に満ちた評価:★★★★★

Apr 17, 2013

English Jam代表にインタビューしてきました。

English Jamという集まりをご存知でしょうか?

個人的に僕が立ち上げから約一年間運営をさせてもらっていた東京都を中心に活動している英語の集まりです。今回は僕が代表を退く際(今年の頭あたり)に二代目の代表をお願いした丸山くんにお話を伺ってきたので、それをかるくまとめてみました。


―それでは自己紹介からお願いします。



日本大学文理学部英文学科に通う一年の丸山雄大です。出身は長野県長野市、実家は善光寺の近くです。いまは一人暮らしをしているのですが、結構人見知りをしてしまうので、休日とかは静かな生活を送っています。友達がいないわけではないです(笑)趣味というほど熱中しているものはありませんが、休日は本を読んだり、DVDを見たり、東京散策をしています。今年の目標は、TOEFL(ITP)のスコアを600点に持っていくことで、3年次には留学したいと考えています。

―大学生活1年目を終えてみてどうですか?



学校生活は楽しくなかったですね(笑)入学当初からみなさんおちゃらけてまして、僕には合わないなと思ってました。休み時間は図書館にこもってましたね。もちろん、「みんなおちゃらけている」というのは、単なる偏見みたいなものなんですが、やっぱり大学に入学することがゴール地点だと勘違いしている人が多いと思います。もちろん遊ぶことは大切なことだし、僕も休日は自分の好きなことをしているわけですが。向上心みたいなものがひたすらないような気がしてならないんですよね。まあ、単純に「学生はひたすら勉学に励まなければいけない」なんていう、僕の考え方が古いような気もしてならないんですが。僕は、浪人生で日本大学にやってきて、やっとこ勉強の楽しさが分かった、ある意味、「学生一年生」なんでね。ただ、最近になってその考え方もいくつかの点で間違っているんじゃないか、っていうことに気づくことができたんですけどね。やっぱり単純にテレビゲームをやったり、漫画を読んだりしているだけでも見方によっては学べることはいっぱいありますし、おちろん座学でも学べることは多いですけど、参考書の文章を鵜呑みに覚えることよりも、自分で抽象的なものから考えて自分なりの考えや答えを導き出してみることは、大学生になるにあたって、もっと重要視すべき勉強の仕方なんじゃないかな、って思い改めています。


―最近の生活はどうですか?


最近は、さっき述べたことに気付かされてから、逆にベットに寝転んで海外ドラマを見たり、YOUTUBEやニコニコ動画を使って好きなもの見てますね。(笑)もちろん、本を読んだりテレビを見たりしていますが。後で詳しく述べますが、私は現在English Jamという同好会の責任者をやっているのですが、そのディスカッションの中で、はっきりとした自分の意見を考えていうのがとても難しいんですよね。というのも、いままで「考える」という作業をしてこなかったから。先も言ったように、参考書の中の言葉をそのままそっくり頭にインプットするだけの勉強の仕方しかしてきませんでしたからね。「考える」ってことは簡単ですよ。考えればいいだけですから(笑)むしろ難しいのは、それが正解かはともかく、いかに根拠に基づいた考えを導き出せるかなんです。そんなわけで最近は、できるだけ物事を深く考えるようにしています。



―どうしてサークルに入らなかったの?


大学に入ったらサークルに入る的な考え方もあると思うんですが、自分で自分を律することができないので、ダメになるなぁと思いまして入りませんでした。大学生活は楽しいので、真面目にサークル活動に打ち込んでいる人も少ないのではないかと(笑)それに、僕は、グループで固定されているのがあまり好きじゃないんです。日本ってすごい集団意識高くないですか?仲良くなったら最期、卒業まで一緒にいなきゃいけない、みたいな。もちろんグループによっては、そうでないところもあるとは思いますが、できるだけそういう可能性は消したかったんですよね。大学に入ったら、色んなことに挑戦してみたいなんて、ずっと思っていたんで、やっぱりそうゆうことをするとなると、集団で行動すると色々と制限されてしまうところもあるんでね。それに他の学科はどうかは知りませんが、英文科には入学当初からクラスがあるし、そこですでに何人かの友達がいるんで、無理に友達作りのためだけにサークルに入る必要もないんじゃないかと思いました。

―ESSはしっかりとしたサークルですが?


そうかもしれないんですが、行ってないからわかりません。でも、サークルの人に聞くと、色々な大会もあるみたいで活動は積極的みたいですけどね。僕は、「サークル」全体に対して少しの不信感を抱いているので。。。(笑)

ESS:学校のサークルや部活動の英語・英会話クラブ (English Study Society, English Speaking Society) の略称。

―English Jamってなに?


English Jamは、基本的に日本大学文理学部、中央大学多摩キャンパスを拠点に活動しています。使用する教材はT.E.Dというネット配信動画を使い、様々な題材をもとに英語ディスカッションを行う活動です。そのため、いかに自分の意見を根拠付けて発言できるかが大切です。みなさんは、普段の生活で様々な物事に疑問をもって、思考を働かせていますか?English Jamが一番大切にしているポイントは「考えること」です。ディスカッションを通して互いの考えを共有し、自分を高めていくところにあります。こういった思考は大変獲得するのは難しいと思います。先も述べたとおり、いままでの僕の勉強は参考書の中身を丸暗記することでしたので、つきつめて物事を考えることはしてきませんでした。English Jamを通して本当に学べることは、そういった点にあると思います。まだ、僕は自分の考えをまとめることができず、言葉につまってしまうことが多々あります。これは、あいまいさが許される日常会話とは異なり、いかに根拠付けた発言まで考えを高めていくことができるか、です。もちろん、こういった考え方が普段からできるようになれば色々なことに役立つと思いますし、英語会話能力はおのずと上がっていくことができます。jamは日本大学のサークルではないので、どなたでも遠慮なく参加していただくことができます。現在は、日本大学生が中心ですが、他校の大学生、留学生、先生などの協力も得て、参加していただいています。

TED(Technology Entertainment Design):アメリカのカリフォルニア州モントレーで年一回、講演会を主催しているグループのこと。TEDが主催している講演会の名称をTED Conference(テド・カンファレンス)と言い、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう。


―English Jamの代表になった経緯は?


突然のメールです(笑)立ち上げ人の方からの半分一方的なご指名がありました。大学一年生で常連の参加者が僕しかいなかったので、ですかね(笑) しかし、僕が代表になることで、ある種の堅いイメージが払拭できるのではないかと思っています。参加している多くのメンバーは、英語が上手な人ですし、また様々な分野に関心を持っている方々、僕から見ればいわゆる「インテリ」な方たちだと思います。しかし、あえて僕がなることで、そんな人もいるなら参加してみようか、と思ってもらえると思います。(笑)いまの僕は、色々な意味で広告塔みたいな役割だと思っています。(笑)

―English Jamの代表って何するの?


English Jamの代表だからと言って、とくに強い権限を持っているというわけでは決してありません。むしろ雑用のようなポジションだと思っています。(笑)もちろん、基本的には、毎回の議題を用意して参加者をリードするのも役目のひとつですが、僕はそういったことがとても苦手で...現在勉強真っ最中なので、みなさんにお願いする場合もあると思います。詳しくは、参加してくれる人に日程調査アンケートを送ったり、twitterやFacebookなどのSNSでの広報活動、さらには外部のパーティーなんかに参加して、一般の方や他の大学の学生さんに参加してもらえるように回ったりだとかですかね。雑務ですよ(笑)もちろん、新しい企画も考えたりしています。個人的には、メンバー内でパーティやできれば海外旅行なんかもしたいなと思っています。

―代表として今後の抱負を。


立ち上げ人が3年生ということで(正確には現在は4年生)、多くはいま3年生が参加者のほとんどを占めています。その中で1年生が僕だけで(現在2年生)、代表として英語能力の不足から始まり、色々な問題が山積みになっており、現在消化中です。まず、代表としての抱負は、できるだけ早くいま自分が代表として抱えている問題を克服して一人前になることです。そしてJamとしての目標は、日本大学生だけではなくて、様々な人にも参加していただいて大きくしていくことです。なぜ、English Jamがサークルとして活動しないかというと、色々な方々に参加していただいて、異なる意見を求めているからです。これこそが、English Jamが同好会であるという最大のメリットであると思っているので、これをもっと最大限に活かしていけたらと思っています。