天才、あるいは神童と呼ばれる人は、変わった人生を歩みがちです。キム・ウンヨンも例外ではないようです。そんなキム・ウンヨン氏を追いかけ続けたフリーランスライターの大橋義輝による一冊。
キム・ウンヨンという少年
僕はキム・ウンヨンという人間のことを知りませんでした。『韓国天才少年の数奇な半生』によると、
・2000年に1人のIQを持つ天才。すさまじい。まさしく神童としか言いようがない。当然の如く、マスコミの標的になったそうです。しかし、あるとき、忽然とメディア上から姿を消してしまったキム・ウンヨン少年。
・1歳にして漢字を操る。
・3歳にして『星にきいてごらん』という書籍を出版。
・3歳にしてIQ測定不能のためにIQ210となる。(81年版から謎の削除をされるまでギネス記録)
・4歳にして日本のテレビ番組で、東大生ふたりを数学で負かす。
天才と教育
『韓国天才少年の数奇な半生』ではキム・ウンヨン氏に関することだけではなく、数多の智の巨人達についても触れています。そして、彼らのうけた教育についても。そんな脱線話もおもしろかったです。
神童/天才と教育といえば、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』が浮かんできます。
村一番の神童ハンス・ギーベンラートが「車輪(社会制度)」に押しつぶされていく様を描いた作品。ハンス少年は幼いころから、勉学に励み、神童と言われるようになります。しかし、すばらしい友人との出会いなどを通じて、あるいは神童教育の反動からか、徐々にエリートコースを脱線していきます。
幼いころから詰め込むことによる反動。神童教育にはそういったマイナス面が存在しているはずです。二十歳を過ぎればなんちゃらという言葉もあるように。そういった「教育」により潰されてしまった子どもたち。だからといって、読み聞かせも何もしない放任主義がいいのかといわれれば、必ずしもそうだとは言い切れないのかと。やっぱり、その子に適した教育方針を模索してあげるのが最適な教育なのではないかと思います。決して簡単ではないですが。そんなことを考えていると、子育てって相当大変なことだなと。
さいごに
良く言えば、サラッと読めます。僕も2時間程で読み終えました。もちろん十分に楽しませてもらいました。しかし、苦言を呈すれば、帯には「天才とは、教育とは、親子関係とは」と謳っているのに、そこまでこちらに訴えかけてくるほどのものでもなかったのかな、と。
偏見に満ちた評価:★★★☆☆
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