石田スイの『東京喰種』
正直、最初は単なる暴力的描写だけの普通の漫画かと思ったので、なんとなくさらーっと読もうかなと手に取ったら結構なアタリでした。
人間と普段は人の姿をした食人生物。どちらにもなれない者であり、その間にかかる橋でもある主人公、カネキ。彼と彼の葛藤を中心にしながら、それぞれの側の葛藤がうまく描かれてます。
『寄生獣』大好きなんですが、設定的には似ているのかなという印象。最初の数巻では海外文学からの引用もチラホラ。そんなところも好みです。
「残虐性」というのもキーワードかな、と。生きるために食すという行為に潜む残酷さ。主人公のカネキの葛藤は大雑把にいえば、そこに集約されます。
一巻の『デミアン』(ヘルマン・ヘッセ)からの引用は圧巻でした。
「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。
卵は世界だ。生まれようと欲するものは一つの世界を破壊しなければならない」
ひょんなことから人間ではないモノに生まれ変わったカネキの戸惑い、苦しみ、そして、新しい自分を受け入れる様をよく表しています。
いい機会なんで、本棚から『デミアン』ひっぱりだしてきます。
偏見に満ちた評価:★★★☆☆
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